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PRODUCTION NOTESプロダクションノート

日本と中国を結ぶ
ビッグ・プロジェクト始動!!
チェン・カイコー監督

夢枕獏の原作「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」が出版されたのは2004年。その頃、新作映画の企画を考えていたチェン・カイコー監督は中国語訳されたこの小説を読み、その中に描かれた楊貴妃の死に対する新たな視点に惹かれて映画化を思い立った。同じ頃KADOKAWA 取締役会長・角川歴彦も同作の映画化に興味を示していて、かねてから親交のあった監督と角川の間で話し合いがなされ、約10年前に日中合作映画として製作することが決定した。
背景となるのは唐の時代だが、かつて『始皇帝暗殺』で秦の時代の宮城を始め、衣裳や風俗などを再現したチェン・カイコー監督だけに、今回も本物志向の準備がなされた。まず空海が日本から中国へ向かう時に乗った遣唐使船を原寸大で作ることが決まった。この遣唐使船はエンジンこそ積んではいるが、昔の製造法に乗っ取って作られた木造船で、細部までこだわり、当時のままの姿を再現している。この船は今回の映画でCG素材として取り込まれ、荒波を乗り越えていく空海の苦難に満ちた航海を、臨場感豊かに表現するのに一役買っている。

撮影風景01 遣唐使船
東京ドーム約8個分の
長安の広大なセット
長安オープンセット01

次に検討されたのが、物語の舞台となる唐時代の都・長安をどこで撮影するかであった。昔、長安があった場所である西安をロケハンしたが、歴史的建造物は観光化され、当時の面影をそのまま留めているものは少ない。そこで湖北省・襄陽市にあった、元は広大な沼地だった場所を整地して、唐の長安を再現した広大なオープンセットを建設することとなった。このセットは文庫本にして全4巻からなる長大な原作を映画的に集約したシノプシスに基づき、撮影に必要な場所を10数人の美術デザイナーが図面に描き起こして建設。図面を作るときには、長安に似せて街が作られたとされる、日本の京都に関する昔の文献も参考にしたという。このセットは必ずしも長安の都をそのまま再現したわけではなく、例えば宮城を取り囲む石垣は上方部分が出っ張っていて、日本の城で言う“忍び返し”のような作りになっており、監督のアイデアを反映している。さらに本作の中で描かれる二つの時代でセットをそれぞれ作るのではなく時代を越えた、一つの広大な街として作り上げたため、セット全体の広さは東京ドーム約8個分にも及ぶ。

長安オープンセット02

建物はどれも基礎工事から始めた堅牢なもので、建設期間は約6年もかかっている。建設当初は独身だった美術担当者が、完成した頃には結婚して子供まで生まれていたというから、まさに一大事業である。空海が密教を授かった青龍寺のセットは、現在では本物の寺として使われており、僧侶たちが住んでいるというから、まさに唐時代の街がこの映画のために甦ったと言っても過言ではない。また外観だけでなく、その内装も監督が細かくチェックして作りこんでおり、内装が完成したのは2015年5月、セット全体の建設が終わったのは既に撮影が始まっていた翌年の夏であった。

実力派が揃った
魅力のキャストたち!!
染谷将太|ホアン・シュアン

脚本作りは日本と中国の観客どちらも満足させる内容にするため、監督は勿論、日本や中国の脚本家によって何度も議論が繰り返された。作品全体のイメージとして監督とプロデューサー陣が目指したのは、ファンタジーとアドベンチャーを融合させた壮大なスケールのエンタテインメント映画。原作から大きくアレンジされた点は、楊貴妃の死の謎という歴史的ミステリーを紐解いていく空海の相棒役を、原作の橘逸勢から中国の詩人・白楽天に変更したことだろう。白楽天の存在をクローズアップすることで、日本の密教のカリスマである空海と、中国人なら誰でも知っている大詩人・白楽天という、日中両国の人々が待望する夢の組み合わせが実現したのである。

染谷将太|ホアン・シュアン

空海と白楽天のコンビをメインとする、脚本が完成したのは2015年10月。この内容を受けて2016年1月からキャスティングが始まった。空海役には何人もの日本俳優が候補に挙がったが、最終的に監督が『寄生獣』二部作で見事な演技を披露した染谷将太に決め、出演を依頼。中国語のセリフをマスターし、剃髪して若き空海になりきった染谷は、見事に監督の期待に応えた。阿倍仲麻呂役には、やはり夢枕獏原作の『エヴェレスト 神々の山嶺』での好演が光った阿部寛が、プロデューサーの推挙によって選ばれた。他にも阿倍仲麻呂の側室・白玲役には『蒲田行進曲』などの作品で中国でもその名を知られている名女優・松坂慶子が、空海の師匠である大師役には火野正平が選ばれた。また白楽天役には『ブラインド・マッサージ』を始め、中国では演技派俳優として注目されているホアン・シュアンが、絶世の美女・楊貴妃役には、台湾出身のチャン・ロンロンが抜擢された。

妥協を許さない、
チェン・カイコー監督こだわりの演出
長安|朱雀大街セット

撮影が始まったのは2016年7月31日。長安のセットはあまりに広いために徒歩での移動は難しく、俳優たちは衣裳やメイクの支度をした後に、バスでセット内の現場まで移動する。移動が必要なのは俳優だけではない。長安の町を彩る軍人、学者、僧侶、商人など多数のエキストラも、毎日バスで現場へと通った。その数は多い時で1,000人。彼らに衣装を着せて鬘、メイクなどをするために衣裳班やメイク班のスタッフは100人体制で撮影の前日夜から準備を開始し、翌日の朝に現場へバスで送り出すという作業が繰り返された。そのエキストラの雰囲気が最もよく分かるのが、阿倍仲麻呂が長安の朱雀大街を通って宮城へと向かう場面だろう。職業も人種も雑多な人で溢れているこの大通りを彼が通っていく場面は、1,000人のエキストラを使って撮影された。日没寸前のマジックアワーの夕景を狙って撮影されたため、撮影できる時間は1日1カットに限られていた。このマジックアワーを狙ったシーンだけで撮影には4日間かけられているというから、チェン・カイコー監督のこだわりが感じられる。監督は映像においても、登場する人間たちの心においても“美しい映画を作りたい”と語っているが、美しさを追求するために一切の妥協しない姿勢が、作品全体に貫かれている。

撮影風景02

映像に対するこだわりは、その撮影ペースにも表れている。1日に撮影するのはせいぜい5、6カット。まずリハーサル段階ではメインキャストと同じ背格好のスタンドイン俳優を使い、立ち位置や動きの流れを作っていく。勿論衣裳も本物の俳優が着る物と同じもので、またスタンドインといえども演じているのは有望な中国の若手俳優ばかり。彼らによって大体の演技の流れが固まったところで、メインの俳優がテスト撮影に臨む。そのテストを1カット終えるごとに監督・俳優・撮影スタッフ全員で確認する。演技や映像に関して全員の意見を聴き、監督から要求を出し、細かく検討しながら一つのカットを完成させていった。しかも1カメラによる撮影なので、その準備や撮影自体にも非常に時間がかかる。この贅沢な時間をかけたハリウッド映画に近い撮影方法に、染谷将太や阿部寛は当初驚いたというが、良い映画を作ろうとする監督を始め、スタッフたちの熱気を現場で感じて、日本映画では味わえない、もの作りの面白さを体感した。染谷将太は撮影の当初、中国語の習得に躍起になっていたが、やがて現場の雰囲気にも打ち解けて、相棒のホアン・シュアンとは共に酒を酌み交わす仲になり、自分のスタンドインを務めた中国俳優とも心を通わせて、絆を深めていった。

ナチュラルさを追求した
“妖猫”のCG 表現!!
妖猫

ハリウッドではこれだけスケールの大きな作品だと、背景などはCGを使ったデジタル合成をメインにして表現するのが普通。だがチェン・カイコー監督は作れるものはできるだけ作って、セットなどは本物を使うことに固執した。監督によれば本物とCGでは、映像がもたらす“空気感が違う”のだとか。ただどうしてもCGなどのVFX映像が必要だったのが、物語の鍵を握る“妖猫”や幻術の表現である。現場スタッフはほぼ中国人で固められているが、VFXには日本のオムニバス・ジャパンが参加。そのVFX スーパーバイザーを石井教雄が担当した。また、音響監督も日本から柴崎憲治が担当。ここで監督が二人に要求したのは、人語を解する“妖猫”のナチュラルな表現。まるで本当に生きているかのような猫の毛並やしなやかな動き、人語をしゃべる音感覚まで、繊細な演技をする“妖猫”は、作品の見どころの一つになっている。
撮影は2017年1月4日に無事クランクアップした。そこから約1年かけて編集やCGカットの仕上げを行い、2017年12月に作品が完成。実に撮影期間5カ月、企画立ち上げから約10年の歳月をかけた一大プロジェクトが、日中のクリエイターたちの手によってここに日の目を見たのである。

極楽の宴|セット01 極楽の宴|セット02

©2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film

染谷将太|黄軒(ホアン・シュアン)|張榕容(チャン・ロン・ロン)|火野正平|松坂慶子|阿部 寛|原作:夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫/徳間文庫)|監督:陳 凱歌(チェン・カイコー)

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染谷将太|黄軒(ホアン・シュアン)|張榕容(チャン・ロン・ロン)|火野正平|松坂慶子|阿部 寛|原作:夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫/徳間文庫)|監督:陳 凱歌(チェン・カイコー)|配給:東宝 KADOKAWA 助成:文化庁|阪急阪神東宝グループ|©2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film 閉じる