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SPECIAL INTERVIEWインタビュー

監督|チェン・カイコー

監督チェン・カイコー

1952年北京生まれ。
北京電影学院を82年に卒業後、『黄色い大地』(84)で長編映画監督デビュー。同作でロカルノ国際映画祭銀豹賞、『大閲兵』(86)でモントリオール世界映画祭審査員賞、『さらば、わが愛/覇王別姫』(93)ではアカデミー賞2部門にノミネートされ、カンヌ国際映画祭パルム・ドール、ゴールデングローブ賞外国映画賞を受賞。
監督作品には、『花の影』(96)、『始皇帝暗殺』(98)、『キリング・ミー・ソフトリー 』『北京ヴァイオリン』(02)、『PROMISE/無極』(05)、ベルリン国際映画祭金熊賞にノミネートされた『花の生涯~ 梅蘭芳~』(08)、『運命の子』(10)、『道士下山』(15)など。
これまでにカンヌ、ベルリン、ヴェネチアのほか、中国、日本、イタリア、カナダの名高い映画祭で審査委員を務めてきた。06年モスクワ映画祭で特別功労賞、08年東京国際映画祭で黒澤明賞を授与されている。

Q:今回、日本の小説が原作ですね?
長安セット01

私と同世代の作家(夢枕獏)で、彼は中国の文化をリスペクトしていました。私が監督のキャリアをスタートさせた30年ほど前、彼は「西安に行き、そこでなぜかは分からないが、涙が出た―。」と。彼は約17年もの歳月をかけてこの小説を完成させました。とても壮大な物語です。

Q:長安の当時の様子について

唐の時代を調べ、大変な衝撃を受けました。文化が非常に寛容で、多くの外国人が首都(長安)に住んでいたんです。人口は約200万人、アジアの中心都市と言えるほどの大都市。人々は自由を謳歌し、1万人以上の詩人がいた。日本、韓国、中央アジアからも多くの人が集まった。文化に対して寛容だったことの表れだと思います。唐の時代を調べ、大変な衝撃を受けました。文化が非常に寛容で、多くの外国人が首都(長安)に住んでいたんです。人口は約200万人、アジアの中心都市と言えるほどの大都市。人々は自由を謳歌し、1万人以上の詩人がいた。日本、韓国、中央アジアからも多くの人が集まった。文化に対して寛容だったことの表れだと思います。
さらに研究を重ね、セットは“正確に”デザインするために2年の歳月を必要としました。勿論、想像も一部はあります。例えば城壁は、セットでは月のような形にし、シンボリックなデザインに仕上げました。このセットがなければ本作の完成には至らなかったと思っています。

Q:映画の準備にどれぐらいかけましたか?

グリーンバックで撮るようなことをしたくなかった。セットではなく、本物の木を植えて、本物の街を作りたいと言うと、皆驚いていましたね。街を作るのは本当に時間がかかりました。デザインに2年間、実際の建築に4年間。幼い頃、田舎で木を切る仕事をしていて罪悪感を覚えた記憶がありますが、今度は木を植えて街を作り、少し報われた気がします(笑)。人々は映画のセットだとは思わないでしょう。本物の街。呼び寄せた若いスタッフに、かなりの時間を費やすことになると伝えると、「時間はいくらかかっても大丈夫ですよ!」と言ってくれました。セットを作ってくれたスタッフの皆さんありがとう!撮影には5ヶ月、ポスプロに1年かかりました。

Q:キャスティングについて

なぜもっと有名な俳優を使わないのか?」とよく聞かれますが、私は誰がそのキャラクターにふさわしいかを大切にしています。俳優がこの映画にどう向き合ってくれるか―俳優と良い関係を作り上げるためにディスカッションを重ねました。俳優をモニター前に連れて行くことをしない監督もいますが、私は全く真逆の方法を取ります。プレイバックをする。この場面で何をするべきか、どうあるべきかを議論する。若い俳優と仕事をすることは刺激的でしたし、自分もいい意味で大きな影響を受けることが出来ました。

Q:この映画のジャンルは何と定義するか?
長安セット02

「アドベンチャー」とも言えますが、物語の中心は「ファンタジー」であり、愛の物語でもあります。人類の普遍的な「愛」についての物語です。

原作|夢枕獏

原作夢枕獏

1951年神奈川県小田原市生まれ。
東海大学文学部日本文学科卒業。77年「奇想天外」誌に掲載された「カエルの死」で作家デビュー。その後人気シリーズとなる作品を次々に発表。89年「上弦の月を喰べる獅子」で第10回日本SF大賞、98年「神々の山嶺」で第11回柴田錬三郎賞を受賞。11年刊行の「大江戸釣客伝」は第39回泉鏡花賞、第5回舟橋聖一文学賞、第46回吉川英治文学賞をトリプル受賞。17年第65回菊池寛賞、第21回日本ミステリー文学大賞受賞。

Q:最初に映画化の話が来たときにはどう思いましたか?

お話をいただいたのは8年くらい前でしたが、最初は本当に映画化できるのかなと思いました。舞台となる長安は今の西安ですけれど、僕はそこに何度も行っていて、もはや唐代の面影はほとんどないんです。だからどうやって撮影するんだろうと思いました。でも監督がチェン・カイコーさんだと聞いて、僕は監督の『さらば、わが愛/覇王別姫』や『始皇帝暗殺』が好きでしたから、期待値がかなり上がりました。チェン・カイコーさんの映画は映像が綺麗ですし、人間の深い部分を描く監督という印象がありましたからね。

Q:長安の街のセットを訪れたそうですね?

これは何て上手な設定だろうと思いました。原作をそのまま映画にするのは無理だと思っていて、どんなふうに展開させようとしているのか。僕自身、興味がありました。原作の橘逸勢は空海の凄さを皆に代わって言ってあげて、驚く役なんです。この役をどうするかは映画化するときに当然突き当たる問題で、それをここでは代わりに白楽天にやらせた。しかも彼は逸勢のようにただ驚くのではなくて、空海と一緒に事件を解決していく相棒になっている。全体として二人の友情物語になっていて、脚本を読んだときに非常に優れた設定だと思いました。

Q:原作では空海と橘逸勢がコンビで活躍しますが、
映画では空海とコンビを組むのが詩人の白楽天ですね。

二人の友情物語にしたことで、空海が一方的にスーパーマン的な立場で事件を解決していくという形ではなくなっています。面白いと思ったのは、二人の人物造形です。空海は密教をとりに中国へ行ったけれども、どうしていいのか悩んでいるし、白楽天も「長恨歌」を完成させることに行き詰って悩んでいる。つまり二人は悩める青年なんですね。一方で白楽天は若くて自信

Q:映画化が決まってから、
チェン・カイコー監督との交流は?

セットを建設中と、出来上がってからと二度行きました。最初に訪れたとき、長安の街が実際に出来上がりつつある姿を見て、思わず泣きました。僕が初めて西安へ行ったのは30年ほど前でしたが、その当時は空海がいた青龍寺も小さな建物の中に申し訳程度の展示物しかなくて、どこにも唐代の雰囲気を見つけられなかったんです。あの時自分が頭の中に思い描いていた風景が、今現実に目の前で出来つつあると思うと、これは凄いことだと思って泣けてきました。完成したセットはチェン・カイコー監督に案内されて見学したんですが、その凄さに驚きました。

Q:白楽天を相棒に据えたことで、
空海の描き方も原作から少し変化が?

この何年かは僕が中国へ行くたびに一緒に船に乗ったり、話をしたりしています。監督は大変な教養人で、いろんなことを教えてくれるんですよ。例えば昔の貴族の酒の飲み方をその場で実演してくれたり、本当に細かいことまで把握しているんです。やはり昔の人がどんな衣装を着て、どんな食事の仕方をしていたかまで知っていないと映画の演出はできないんだなと思いましたね。その監督から食事をしているときに、「いいか、獏。世界にお前の原作小説を読んだ人間が何人いるか知らないけれど、俺はこの小説を千回読んでいる。だからお前のことも、この作品のことも俺が一番わかっている」と言われて、思わず「ありがとうございます」って言いました。そこまで言ってもらえると、原作者冥利に尽きますよ。やはり中国を舞台にしたものは中国で生まれて、その歴史の中で育った人が書くものにはかなわないと思うんです。でも監督は僕のように空海が好きで、唐の時代が大好きな日本人が書いた小説の中に、何か自分とシンクロするものを見つけてくれたんだと思うんですよ。

Q:そういう監督が作る映画ですから、
全幅の信頼を置いていると?

それはありますね。また当然ですけれど、監督は魅せる映画というものを知っている。僕は長安のセット建設中に、監督と美術担当の方との話を聞いたことがありました。美術担当が描いたデザイン画を見て監督は「これでは長安の復元でしかない。私は歴史家ではなく映画監督だから、もっとビジュアル的に考え直してくれ」って。そういう美意識を持った監督が、どんな映画を作り上げるのか。早く完成したものが観たいです。

©2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film

染谷将太|黄軒(ホアン・シュアン)|張榕容(チャン・ロン・ロン)|火野正平|松坂慶子|阿部 寛|原作:夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫/徳間文庫)|監督:陳 凱歌(チェン・カイコー)

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染谷将太|黄軒(ホアン・シュアン)|張榕容(チャン・ロン・ロン)|火野正平|松坂慶子|阿部 寛|原作:夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫/徳間文庫)|監督:陳 凱歌(チェン・カイコー)|配給:東宝 KADOKAWA 助成:文化庁|阪急阪神東宝グループ|©2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film 閉じる